脳梗塞後遺症:感覚性失語の父、復活!珍道中 その2)「治療は必要だけど、病人にはしない」
今年74歳になる父は、1年前の2016年3月末に脳梗塞になりましたが、おかげさまで3ヶ月後の2016年6月に無事に退院しました。
父の障がいは、「感覚性失語」。見た目には、分かりにくい障がいについて、少しでも知っていただけたら…と思います。
その1)認知症?と思ったら、脳梗塞だった!!
倒れない脳梗塞もあります
https://riecs.net/blog/614/
脳梗塞を発症し、人生初の入院をした病院嫌いの父
私もショックだったけど…
「治療が必要だけれど、病人にはしない」
「仮に、明日父が死んでも、後悔しないようにしよう」
心友と話して心に決めたこの言葉を支えに、
今、自分ができることをすることで、不安を乗り切った感がある
そのために、私がやったことは至って簡単
「髭剃り」
タンスの奥にしまってあった電気のシェーバーと鏡を病室へ持っていき、父自身に髭剃りをしてもらう。
普段は、T字型のカミソリで剃っていたので、そのカミソリを使いたいと言う…。
作業療法士としては、慣れた道具を使った方がいいよなぁ〜とも思う。
が…間違って皮膚を切ってしまったら…血液サラサラの薬を飲んでいるし、
止血しにくいかも…と考えて、電気シェーバーで。
最初は使い方が微妙で、刃でない方を肌に当てたり
鏡にどのように自分を写したら良いか、試行錯誤している様子が見られたけど…次第に上手に!!
余談…
父の髭剃りの様子を、作業療法の評価法AMPSで評価すると、間違いなくプロセス技能の問題満載だと思われる。
でも、病院のリハビリ評価(FIM)では、日常生活活動(ADL)は、ほとんど7点、つまり「自立」 ……(笑)。
何を、どのように見て判断するか、という評価の視点って大事だなぁ〜。
髭剃りの様子、ビデオに撮っておけば良かった…笑。
「足湯&足マッサージ」
お風呂好きだった父が、入院後1回もお風呂に入れず…シャワーもできない状況
アロマセラピーを学んだ先生に、ブレンドオイルを作ってもらい、足湯&足マッサージをする。
続けると…なんと!父の足裏の固〜い角質がポロリと取れて、すべすべ肌に生まれ変わった!(◎_◎;)
アロマの力、すごい!と私は感動、父は無感動(笑)
でも…髭剃りと足湯を始めると…
もっとさっぱりしたいようで…
自分からタオルで体を拭き始め、下着を替えて着替えをするように♬
「一緒にご飯を食べる」
昼か夜、どちらかは、一緒にご飯を食べた。
昼はお弁当を持って行って
夜は、父のご飯をつまみ食いして
特に食事制限がなかったので
母が作ったおかずを持って行くこともあった。
これは美味しい、これは美味しくない、などと言いながら
幸い、私が個人事業主として仕事を始めて数ヶ月後のことだったので
仕事が少ない=時間がある=病院に行ける
今思うと、私の最初の仕事は、父の作業療法だった
いわゆる、訓練室やベッドサイドで行うリハビリではなく
その人の「病院での暮らし」に関わる作業療法
できるだけ、家にいる時の暮らしと同じように…
もちろん、かけ離れていて、難しいことの方が多いけど
小さなできることは、たくさんあることも発見♬
私の自己満足…という面も十分にあるけれど(笑)
病室という限られた空間と、限られた作業しかない生活
父が好きだった囲碁を、入院翌日に持って行ったけれど、五目並べも理解できない
新聞に載っている、囲碁の図を見て、同じように並べたりもしていたけれど、
「今じゃない」と自分で判断。
その代わり(?)に、父が始めたのは…病棟見回り(笑)
病室の数・ベッドの数など、数えて、報告してくれる。
数を数えたり、計算するのは、前から好きだった。
最初は自分のいる病棟
次は、廊下続きの隣の病棟へ勝手に移動
(病院関係者からすると、かなり迷惑な患者…笑)
日中に、ウロウロと歩き回る父を見て
自分の病室が分からなくなったのでは…と
最初は、師長さんが心配して付き添ってくださっていたようだけれど
次第に、ちゃんと分かってウロウロしていることを理解してくださり
良い意味で放っておいてくださるようになった
そして、「お父さん、すごいですね」と
よく分からないけいけれど、お褒めの言葉もいただいた。
でも、確かに父はすごかった
「名前は?」と聴かれても答えられない父が
RIE: 言葉がわからなくても、生きていけるからね…と言うと
父: そりゃそうだ…と答え
その通りに、生きている。
言われている言葉は分からないけれど、自分の思いは一生懸命伝えようとする。
話をしようとする。
父が言っていることは、ほぼ理解してもらえないけれど…
とにかく、臆せず伝えようとする。
その姿は本当にすごいと思う。
一方、伝えることがメインになりすぎて、人の話を聴かないと言う難点も(笑)
でも…これは脳梗塞になる前からなんだなぁ〜
そうしたら、担当の言語聴覚士(ST)さんにも…
STさん:あまり、話を聴こうとされないんですけど、前からですか?
RIE :そうなんですよ、前から人の話は聴かないんです。なんとかなりませんかね〜?
STさん:う〜ん、それは何とも…(苦笑)
まぁ、そりゃそうだ(笑)
70年以上の性格や特徴は、そんなに簡単には変わらない
生きているだけで、丸もうけ!
長文を最後まで読んでいただき、ありがとうございました❤️
次回は、「勝手に退院!」の巻
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また明日!
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引野里絵(作業療法士&グローアップクリエーター )
入院して1ヶ月後、弟が帰省
父は初の外泊、久しぶりの家
父を病院へ、弟を空港へ送った帰り道
海辺のカフェで、母と一息
景色と、自然、美味しい料理に癒された
│更新日:2017年06月23日│